【持株会】単元株になったらどうする?「継続 vs 現金化」複利効果を最大化する判断基準
結論からいうと、すぐに使う予定のないお金なら、単元株になったからといって慌てて現金化しない方が、資産形成では有利になりやすいです。
理由はシンプルです。
まず、持株会は毎月の積立と配当金の再投資が続くため、長く続けるほど株数が増えやすい仕組みだからです。持株会では、受け取った配当金が再投資に回る仕組みが一般的です。 (出典:SMBC日興証券)
次に、単元株はあくまで「100株という区切り」であって、「今すぐ売るべきタイミング」そのものではありません。東京証券取引所では、内国株の売買単位は100株に統一されています。 (出典:JPX日本取引所)
そして、売却すると現金は手に入りますが、その株が将来生む配当や値上がりの可能性は手放すことになります。さらに、売却益や配当には原則20.315%の税率が関係します。 (出典:国税庁)
つまり、初心者の方ほど
「単元株になったから売る」ではなく、「何のために売るのか」を決めてから動く
ことが大切です。
[従業員持株会の基本戦略]
単元株とは何か?まずはここから理解すれば大丈夫
単元株とは、株式市場で売買するときの基本単位のことです。
日本の上場株式は、現在は原則100株単位で売買されます。つまり、証券口座で通常の株取引をする場面では、100株がひとつの区切りになります。 (出典:JPX日本取引所)
一方で、従業員持株会では1株未満の端数までコツコツ買い付けられることがあります。
そのため、持株会を続けていると、ある日「100株に到達した」というタイミングがやってきます。
このときに迷いやすいのが、次の2つです。
- そのまま持株会で継続する
- 個人の証券口座に移して保有や売却を考える
なお、持株会から株式を引き出す際には、事前に証券口座の開設が必要になる場合があります。SMBC日興証券でも、株式引出にあたり証券口座が必要と案内されています。 (出典:SMBC日興証券)
ここで大事なのは、単元株はゴールではなく、見直しのタイミングだということです。
単元株になると何が変わるのか
単元株になると、売買や管理の自由度が上がりやすくなります。
一般に、単元株数に達して個人名義で管理されるようになると、議決権や株主優待などの権利を受けやすくなります。証券会社の累積投資サービスでも、単元株数に達して口座へ振り替えられると、議決権や株主優待などの権利を享受できると案内されています。 (出典:大和証券)
ただし、ここで勘違いしたくないのは、権利が増えることと、すぐ売るべきかどうかは別問題という点です。
単元株になったら考えるべきことは、次の順番です。
- 今すぐ現金が必要か
- 自社株の比率が高くなりすぎていないか
- まだ積立を続けたいのか
この順番で整理すると、感情で判断しにくくなります。
継続と現金化、それぞれの考え方
持株会で継続する場合
持株会を続ける最大の強みは、自動で積立と再投資が続くことです。
毎月の給与天引きで積み立てられ、さらに配当金も再投資されるなら、持株数は少しずつ増えていきます。投資初心者にとっては、「自分で買うタイミングを悩まなくていい」というのはかなり大きなメリットです。 (出典:SMBC日興証券)
特に、次のような方には継続が向いています。
- 生活防衛資金はある程度確保できている
- 退職までまだ時間がある
- 今すぐ現金が必要ではない
- 自動で資産形成を続けたい
[持株会を15年続けた複利効果]
単元株ごとに現金化する場合
一方で、単元株ごとに個人口座へ移して売却すれば、まとまった現金を作れます。
住宅費、教育費、車の購入費など、近いうちに使う予定があるなら、現金化を考えるのは自然です。
また、自社株に偏りすぎる不安がある場合も、現金化して分散投資に回す考え方には十分意味があります。
ただし、売却した株はその後の配当や値上がりの恩恵を受けられません。
さらに、売却益には原則として上場株式等の譲渡益の税率がかかります。 (出典:国税庁)
そのため、初心者の方ほど
「何となく100株ごとに売る」よりも、「いくら必要なのか」を決めてから動く方が失敗しにくい
です。
[集中投資のリスク対策]
小出しに出す?まとまってから出す?数値で比較
ここはイメージしやすいように、かなりシンプルな試算で比較します。
前提条件は次のとおりです。
- 毎月の積立:1万円
- 会社の奨励金:5%
- 毎月の投資額:1万500円
- 株価:1,000円で一定と仮定
- 配当利回り:年3%
- 税金・手数料・株価変動は考慮しない
この条件だと、毎月10.5株ずつ積み上がっていくイメージです。
ケース1:15年間、一度も売らずに継続した場合
- 最終保有株数:約2,414株
- 資産額:約241万円
ケース2:100株たまるたびに小出しで売却した場合
- 売却して確保した現金:約190万円
- 最後に残る株数:約10株
- 合計資産:約191万円
ケース3:300株たまるまで待って、まとまって売却した場合
- 売却して確保した現金:約180万円
- 最後に残る株数:約152株
- 合計資産:約195万円
比較するとどう見えるか
この試算では、小出しで100株ずつ出していくほど、複利が効きにくくなるという結果になりました。
理由はわかりやすくて、早く売るほど、その後にもらえたはずの配当や再投資の時間を失うからです。
つまり、資産形成を優先するなら、考え方の基本はこうなります。
小出しで何度も現金化する < ある程度まとまってから動く < できるだけ継続する
もちろん、これは簡易シミュレーションです。
実際は株価の上下もありますし、税金もかかります。
それでも、初心者の方が判断するときの方向性としては十分参考になります。
初心者向けのおすすめ判断基準
迷ったときは、次の3つで判断するとわかりやすいです。
1. 生活防衛資金が足りているか
まずはここです。
生活費の数か月分が十分にないなら、資産形成より先に家計の安定を優先した方が安心です。
2. 自社株の比率が高すぎないか
持株会は便利ですが、長く続けると自社株に偏りやすくなります。
給与も賞与も勤務先、資産も自社株、となると、会社業績の影響を同時に受けやすくなります。
3. 使う時期が近いお金かどうか
3年以内に使う予定があるお金なら、単元株になったタイミングで一部現金化を考えるのは合理的です。
逆に、10年単位で育てるお金なら、急いで動かない方が合いやすいです。
まとめ
従業員持株会で単元株になったときは、うれしい反面、「売るべきか、続けるべきか」で迷いやすいものです。
ただ、初心者の方にまずお伝えしたいのは、単元株は“売り時”ではなく、“見直し時”だということです。
- すぐ使う予定がないなら、慌てて現金化しない
- 小出しで何度も売るより、必要額を決めてまとまって動く
- 自社株の偏りが気になるなら、分散も検討する
この3つを押さえるだけでも、かなり判断しやすくなります。
持株会は、派手に増える制度ではありません。
でも、給与天引きで続けやすく、配当再投資も効きやすいので、初心者が資産形成を学ぶにはとても優秀な仕組みです。
だからこそ、単元株になったときも焦らず、
「何のために売るのか」「まだ育てるお金なのか」
を基準に落ち着いて判断していきましょう。
[マネーフォワード MEで持株会を管理する記事]
出典・参考
- 東京証券取引所「売買単位」
- 東京証券取引所「売買単位の統一」
- SMBC日興証券「従業員持株会(従業員の方へ)」
- SMBC日興証券「Q.持株会の配当金について教えてください」
- SMBC日興証券「口座開設から売却までのお手続きの流れ」
- 大和証券「るいとう(株式累積投資)」
- 国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」
- 国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
以上、参考になれば嬉しいです。
それでは今日も一日、健康第一で…
