2022年9月4日高速バス京都駅置き去りを、有資格者が考えてみた。
先日、ネットニュースを見ていましたら、「京都駅で高速バスに置き去りにされた〜」と言う記事を見つけました。
「さくら観光」という名前が独り歩きし、よく似た名前から他社のバス会社さんに、ご迷惑をかけている状態です。
正しくは、さくら観光バス株式会社さんです。
URLはこちらです。→ https://sakura-kankou.jp/company/
バスの両サイドには、「Sakura Sight seeing Bus」と表記されています。(2022年9月現在)
そこで、旅客運行管理者、国内旅行業務取扱管理者の両方の資格を有する私が、このバス会社の対応などについて考えてみたいと思います。
概要
2022年9月4日の大阪OCAT22時10分発、埼玉久喜菖蒲バスターミナル行のミルキーウェイCJ110便で起きた。空調トラブルとのことです。
この時期にエアコンが効かないとなると、蒸し風呂ですね(汗)
会社の指示により、京都駅に到着したあと、開放したということになっています。
Yahooニュースから
大手バス会社なら…
大手と言われるJRグループの会社、私鉄系のバス会社などのグループであれば、代替バスが用意されるでしょう。
もちろん、同じ車両が用意されるかは分かりませんが、3列シートが来れば嬉しいですが、4列シートの観光バスが代替されることも有るでしょう。
最寄りの営業所から来るわけですので、乗務員の手配や準備、点検、点呼、移動時間がかかってしまい、早くても1時間半はかかる計算です(汗)
運賃の返金
代替バスが来たならば、債務は履行されるわけですので運賃はそのまま収受されます。
いくら遅れて目的地に着いたとしても、返金はありません。
4列シートになったからと言っても、差額分の返金もありません。
自社での代替バスが用意できない
もし、どこの営業所からも遠くて、乗務員も見つからない!
そんな場合は、親しくしている観光バス会社に連絡をして、代走してもらうことになります。
もちろん、上記の通り、債務が履行されることになりますから、運賃はそのまま収受されます。
ジャンボタクシーで分乗して輸送された場合も同様になるでしょうね(涙)
運賃とは…
先程から運賃と言うところだけ強調していますが、旅行代金とは違います。
国内旅行業務取扱者試験にも引っ掛け問題として出題されたりしますが、参考になると思われるのがJR運賃計算なので、そちらを参考にしてみて下さい。
運賃を簡単に言うと、
輸送するための基本料
…そんな感じでしょうか(笑)
輸送が完結すれば収受されるものです。どんな手段であろうが、目的地に着けば良い事になりす。
各バス会社の考え方や方針にもよりますが、途中で運行を中止することは余程の事がない限り有り得ないと思います。
運賃という言葉の重みがここにあります。
JR運賃を参考にしてみる
運賃の払い戻しは、基本的に運休や、不通等によって通行できなくなった場合に払い戻しがされます。
私も勉強するまでは、2時間以上遅れた場合は、払い戻しになると思っていました。
しかし、この規定は、特急券やグリーン券等の「料金」についての規定だったのです!
運賃の規定は、遅れて着いたとしても払い戻しは基本的にありません。
払い戻しになるとすれば、不通区間や、運休区間のみが払い戻しになることになります。
もし、運休や不通区間が発生して、その区間内の駅に行く場合の運賃は、そもそも、乗車券を販売しないでしょうね(笑)行けるところまででしたら、発券してくれるかもしれません。
バスの運賃
今回の場合の運賃については、明確なものがさくら観光バスさんのホームページから見当たりませんでした。
貸切バスの運賃計算方法については基本的なものが記載されていますが、高速バスの料金をクリックしてみますと、「株式会社旅クラブジャパン」さんが運営する「ミルキーウェイエクスプレス」の高速バス予約サイトに誘導されます。
このサイトで気になった文言がありましたので、参照下さい。
規約集の中にある、この条文です。
利用規約第2条
当サービスは、弊社が企画・実施を行うバスに関する企画旅行商品(以下「旅行商品」という)について、当サービスが予約を受付し、利用者と弊社の間で旅行契約を締結するサービスである
気になる文言は、企画旅行商品という言葉です。
企画旅行
国内旅行業務取扱管理者試験で、大半のページを割いて勉強したところです。
企画旅行には、2つの型がありました。
募集型企画旅行と、受注型企画旅行。
詳しくは、以前ブログに書きましたこちらを参考にしてみて下さい。
今回の高速バスは都市間高速バスと言うツアー名の募集型企画旅行という事なのです。
そのため、サイトの標章・約款の中に「一般乗合旅客自動車運送事業約款」の記載がありません。
参考に「はとバス」さんの一般乗合自動車運送事業約款がホームページに公開されていましたので、リンクさせていただきたいと思います。
約款の置いてある場所
各約款は、営業所に掲げる事になっていて、ホームページに記載されていなくても問題ない事になります。(私の勉強した範囲より…)
はとバスさんは、ご丁寧に載せていただいています。
さくら観光バス株式会社さんには、見当たりませんでした。
以上を踏まえて考える
今回の高速バスは、ツアーバス
と言ったほうが良さそうです。
旅行会社が募集企画して、バスを手配する募集型企画旅行となるでしょう。
手配旅行として、他のサイトでも販売をしているようです。(楽天トラベルにもありました。)
乗合自動車事業と同等の規制をしているようですが、約款などを見ると、貸切自動車事業に近いものがありますね。
まとめ
今回のニュースを見て、有資格者なりに考えてまとめてみました。
旅行代理店と旅行者間の約款上は、問題ない対応がされたと思います。
債権である乗車券はチケットレスということで、存在はしません。しかし、その前提となるものが募集型企画旅行であるため、そもそも、乗車券自体は旅行会社に渡ることになります。
会社の慰安旅行、修学旅行でバスに乗る際、一人ひとりに乗車券を手渡されませんよね(汗)
旅行会社が募集する「信州ぶどう狩りツアー」等に参加しても、集合場所に集まって、名前を伝えるだけでバスに乗り込むことができます。
結果的に、「都市間高速バスツアー」という事になります。
安くするためには、行った先には営業所を持たないほうが、安く済みます。土地代、人件費を考えれば、一方にあれば事足ります。今回はそれが仇となりました(涙)
高速バスを利用する際は、今一度、検討していただき、自分のリスク許容度がどこにあるかを考えてみて下さい。
バス会社の対応、旅行会社の対応は、イマイチだったかもしれません。しかし、約款や金銭面についは、旅行代金以上の対応をしていると思います。
以上、参考になれば嬉しいです。
それでは今日も一日、健康第一で…