【プロが警告】右折時の「小回り(ショートカット)」はなぜ逆走を招くのか?正しい交差点の通り方
毎日のように車やバイクを利用する中で、交差点で「右折時にショートカット(小回り)してしまい、対向車線に進入しそうになった」という経験はありませんか? 報道される逆走事故の多くは高速道路で起きていますが、一般道では交差点での右折時に逆走未遂が多発していると考えられます。
この記事では、交差点で起きる逆走未遂の具体的な原因(ショートカット)と、旅客運航管理者としての視点から、道路交通法に則った正しい右折方法を、目撃談を含めて詳しく解説します。
1. 右折時の「小回り」が逆走を招くメカニズム
交差点で右折する際、早く曲がろうと「交差点の中心の直近の内側を通らない(小回りする)」ことが、逆走未遂の最大の原因です。
危険性が高いのは「片側2車線以上」の交差点
片側1車線の交差点では、右折先に直進の対向車がいるため、逆走の危険性は低いですが、右折先が片側2車線以上ある場合は要注意です。
- 意識の欠如: 右折する際、ドライバーの意識は「対向の直進車」に向けられがちです。しかし、小回りをすることで、進行方向の「正規の車線」に対する意識が欠如し、中央分離帯の向こう側や、対向車の右折レーン(逆走レーン)に入り込んでしまう危険性が高まります。
- 急ぐ心理: いわゆる「〇〇走り」と呼ばれるように、信号が変わった瞬間に我先にと飛び出し、結果として小回りによる逆走の危険性が高まります。
2. KYT(危険予知トレーニング):実際に起きた逆走未遂
先日、筆者が目撃した、地方幹線道路の交差点で発生した逆走未遂の事例から、危険性を予測しましょう。
目撃パターンの概要

- 信号が青になった瞬間、私から見て右側から来た右折車が、勢いよくショートカットして右折を開始。
- その交差点には中央分離帯がありましたが、右折車は交差点の中心を通らず、そのまま対向車線の右折レーン(正規とは逆の車線)に勢いよく突っ込みました。
- 運悪く、逆走した先の右折レーンにはすでに別の右折車が進入中であり、間一髪で正面衝突は避けられました。
予測される事故のパターン
- 追突事故: もし逆走車の後続車が詰めて右折していた場合、前車の急停車に間に合わず、オカマ(追突)事故に発展していたでしょう。
- 右直事故: もし逆走先の車線に、スピードに乗った直進車が突っ込んできた場合、死亡事故に繋がる右直事故になっていた可能性が高いです。
身を守るためにも、相手がショートカットしてくる危険な行動パターンを予測し、距離を置くことが重要です。
3. 【法律】「交差点の中心の直近の内側」を通る義務
なぜショートカットが危険行為なのか?それは、道路交通法に明確に違反しているからです。
(道路交通法 第三十四条第二項)
自動車、原動機付自転車…は、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。(e-Gov法令検索より引用)
ショートカット(小回り)は、「交差点の中心の直近の内側」を通らないため、明確な違反行為です。
- 違反点数: 1点
- 反則金: 4,000円(二輪車、普通車の場合)
正しい右折とは、徐行しながら交差点の中心の直近の内側を回る走り方であり、これによって自然と正規の車線に進入することが可能になります。
まとめ:小回りする運転は「逆走の第一歩」
右折時のショートカット(小回り)は、違反行為であると同時に、逆走を招く危険な行動です。片側2車線以上の交差点では特に注意が必要です。
バイクに乗る時も、車を運転する時も、常に余裕を持った行動を心がけ、「交差点の中心の直近の内側を通る」という交通安全の基本に立ち返り、危険から自身を守りましょう。
以上、参考になれば嬉しいです。
交通ルールを守って、今日もお元気で…

