最大拘束時間と、最高走行距離と、最大運転時間の計算。ツーマン運行は同時点呼が必須要件。
バスや、タクシーの運転手さんたちは、きちんと決められた時間で動いています。
気ままに走っているわけではないですよ。しかも、決められたルートしか走ってはいけない路線バスは、制約が多いですね。
高速道路を長距離で走る高速バスは、厳しく規制が変えられています。
過労による居眠り運転で、大事故になった事も記憶に新しいと思います。また、経験不足の運転手を使ったことにもよる事故もありましたね。お亡くなりになられました方への、ご冥福をお祈り申し上げます。
このような過労防止のために、厳しく時間が規制されていますので、勉強した中からご紹介いたします。最後まで読んでいただけたらと思います。
基本的な運転時間の考え方
「運転席に座り、ハンドルを握って走っている時間を運転時間」と、わかりやすく定義しておきます。もちろん、信号待ちをしている時も含みますよ。
運転時間は、2日間の平均で9時間の規定があります。
- 1日目 8時間
- 2日目 9時間
- 3日目 9時間
- 4日目 4時間
- 5日目 12時間
- 6日目 6時間
この様な運転時間であった時、1日目と2日目の平均は、8.5時間なので、問題なしです。
2日目と3日目は、9時間ですね。3日目と4日目は、6.5時間でこれも問題なしです。
5日目は9時間を超えていますが、2日間の平均なので4日目と5日目は、8時間で問題ないです。
5日目と6日目は、9時間となるので、これもまた問題なしです。
この様に、1日に走ることのできる時間が制限されています。一日中走ることができる時間は、18時間になりますが、前後の日は、走ることが出来ませんね(1日目0時間、2日目18時間、3日目0時間)。しかし、次の問題が出てきます。
最大拘束時間は、基本13時間
出勤から、退社までの時間が基本は13時間です。労使協定(36協定)が結ばれているときは、16時間まで延長できますが、1週間に15時間を超えることにできるのは、2回までとなっていて、無制限にできるわけではありません。
厚生労働省の『自動車運転者の労働時間等の改善のための基準』(通称:改善基準)により、厳しく規制されています。1週間に40時間、4週間に260時間など…
今回は、基本的な数字のみ紹介します。事細かく数字を書くべきだと思いますが、理解が難くなってしまいますので、基本的なこと…程度にしておきます。
ご了承下さいませ。
事細かく基準が設けてあり、違反すると管理監督官庁から指導・改善命令があります。勿論、行政処分もあります。
また、最大時間の16時間を走る!…と行きたいところですが、点検や点呼、清掃などの時間として、前後の1時間がカットされるため、正味14時間走るのが限界です。
しかし、14時間走ったとしたら、前日と翌日は、4時間しか、走ることが出来ませんね。前の項目であった、9時間のルールです。
ぶっ通しで走れない…!?
4時間走ったら、30分の休憩が必要です。
お客さん:先を急いでいるのに、変なところで止まりやがった!!
と思うかもしれませんが、こう言ったカラクリが潜んでいるのです。
しかし、分割して休憩する場合、1箇所の休憩箇所につき10分以上止まらないとカウントされず、10分未満の休憩は、無休憩で走った事になってしまいます。
さらに、高速道路を走る場合、2時間を目安に休憩を取らないといけません。国土交通省の『交替運転者の配置基準』(通称:配置基準)により、規制がされています。この規制を超える場合は、交代運転手が必要となります。所謂、運転手さん二人のツーマン運行です。
走ってもいい距離
また、最高走行距離も決まっていて、基本は、
- 昼行で走ることのできる距離は、500kmまで。
- 夜行で走ることのできる距離は、400kmまで。
となっています。
例外規定として、車輌にデジタルタコグラフが付いていたり、体調報告をするなどの細かな規定をクリアーすると、プラス100km延ばすことが出来ます。
例として、東京駅から大阪駅(GoogleMap調べより)まで、新東名、新名神経由でおよそ501kmありますから、「昼行であれば、ワンマンで走ることは可能である!」ということになります。
それ以上、走りたい時は…??
配置基準に従って、交替運転手を用意しなければなりません。
例えば、名古屋から出雲大社に参拝して、日帰りの旅行を計画したとします。
実車距離(お客さんを乗せている状態を、実車と言う)が、片道475km 合計950km。
時間にして、片道7時間として往復14時間。
間違いなく、ツーマン運行しなければなりません!!
出雲大社への参拝時間や、準備時間、回送時間を含めれば、最大拘束時間の20時間近くに達しそうです。
ツーマン運行は、上記に記したように拘束時間が20時間まで延ばすことが出来ます。
3人の運転手が乗れば、もっと延ばせる!
かと言うと…
それは出来ません。10人運転手が乗っていたとしても、最大20時間です。
しかも、同時点呼する必要があります。
詳細は、労基署など、専門の方にご相談ください。
同時点呼とは
運転手Aさんと、運転手Bさんは、同時に乗務前と、乗務後の点呼を受けなければなりません。
しかも、同じ場所に居なければなりません。
乗務前点呼は「休息後」に行われ、乗務後点呼は「休息前」に行わなければなりません。分かりやすく言うと、「出社時」「退勤時」に行うことと考えればいいかもしれません。
その点呼を行わなければ、ツーマン運行は認められません。
お客さん:でも、途中で運転手さん二人になるけど、ダメなの?
同時点呼が原則です。
途中で乗ったり、降りたりした場合は、ワンマン運行の規定になります。
なので、最大16時間までです。
講師の解説では、例えば…
2時間だけツーマン運行して直後に乗務可能ではあるが、直後の乗務も含めて20時間まで運行できたとしたら、時間制限にすぐにひっかります。
ツーマン運行は『特例』であって、基準となるのは、「ワンマン運行規定」です。
国土交通省もそこまで馬鹿ではないですよ。
と言うものでした。
法的根拠(旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について)
『旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について』という国土交通省が出した文章があります。
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03safety/resourse/data/construction_ryokaku.pdf
その中に、ワンマン運行について『定義』が記されていましたので、ご覧ください。
高速乗合バス及び貸切バスの交替運転者の配置基準について(抜粋)
1.用語の定義
引用:旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について
(6) ワンマン運行:交替運転者が同乗していない運行をいう。一運行の実車運行区間に一部であっても交替運転者が同乗していない区間がある場合及び運行計画又は運行指示書上、運転の交替が計画又は指示されていない運転者等が同乗している場合についても、当該一運行をワンマン運行とする。
超簡単に訳すと、
初めから二人乗務していなければ、ワンマン運行。
途中で乗ったり降りたりしたとしても、ワンマン運行。
途中で乗降する交替運転手等を計画していようがいまいが関係ない!
かなり、厳しい内容ですね(汗)
そのため、営業所を出発時と到着時には、『二人揃って点呼を受けなければならない』のです。
例)下関〜東京ディズニーリゾート
下関駅から東京ディズニーリゾートまでの運行をする場合、ツーマン運行になる場合と、ワンマン運行になる場合を記してみます。
下関駅から東京ディズニーリゾートまで回送を含めて二人(運転手A、運転手B)で乗務する。
規定通りのツーマン運行です。
下関駅から途中の広島駅まで一人(運転手A)で乗務し、広島駅からもう一人(運転手B)が乗って東京ディズニーリゾートまで二人で乗務する。
広島駅から乗ってきているので、同時点呼が実施されていません。そのため、ワンマン運行となります。
もし、どうしても下関〜広島間をワンマンで運行したい場合は、広島駅で(運転手A)降りて、別の二人(運転手B、運転手C)の乗務員が乗務することで、ツーマン運行となります。
三人(運転手A、運転手B、運転手C)の乗務員が必要ということになります。
ツーマンの休息時間は4時間…!?
目的地から折り返しで帰路につく場合、ワンマン運行の場合、8時間が必要ですが、ツーマンではその半分の4時間で帰りの便を運行することが出来ます。
例えば、九州から関東を往復する夜行高速バスは、片道1,000kmを超えて、14時間を超える運行時間です。もし、到着予定時間が9時だとして、渋滞にはまってしまい車庫に12時に着いたが、出発が夕方6時ならば…ギリギリとなってしまいます。
準備時間、清掃時間という前後の勤務時間
点検をしたり、車内清掃をしたりと、運転するだけの時間ばかりではありませんから、その時間も含めていかなければなりません。
しかも、車庫から始発バス停までの回送時間、終点バス停から車庫までの回送時間も考える必要があります。
最大拘束時間が20時間だったとしても、20時間運転はできないのです。
まとめ
勉強する中で、いろんな規制に縛られていることが分かりました。特に重要と思われたものを、ピックアップして紹介しました。普段利用する際に、疑問に思っていたとこばかりかもしれません。
お客さんA:遅れているのに何時間も止まってる!
…だとか、
お客さんB:もう少し先まで距離が伸ばせないの?
…などなど。
今(2021年10月現在)コロナ禍も落ち着いてきましたが、まだ、貸切バスを使うことも少ないと思います。
自分自身が安全に目的地に着けるのも、運行管理者の管理がなされての事だと思いました。
もし、自分がツーリングや、ドライブを計画したならば、この規定に従って実行したいですね。
絶対に安全な行程で、進められることでしょう。
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それでは今日も、お元気で…